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計算生物物理学  ――最先端コンピューティング技術を用いて生物の動作メカニズムを原子・分子レベルから解明する――

生命の設計図はDNAの中に書かれている。そこに書かれている情報は蛋白質を作るための20種類のアミノ酸の並べ方(1次元配列)である。蛋白質はアミノ酸が重合した高分子で、つまりは原子の集まりである。しかし、それはランダムな集まりではなく、設計(デザイン)された集まりである。設計図に従って特定のアミノ酸の並びになった直鎖状の蛋白質分子は、その後、特定の立体構造を自発的に形成する。そしてだれに命令されるわけでもなく分子同士が自発的に集まり散じ、「分子素子(molecular device)」、「分子機械(molecular machine)」として機能する。たとえば私たちの運動機能(筋収縮や心臓拍動)はアクチンとミオシンという2種類の蛋白質が時々刻々と結合・解離する「分子機械」によって駆動されている。

分子機械はいわゆる「機械」のイメージとは異なり、構造安定性がごくわずかしかなく(この特性は「ギリギリの安定性」=marginal stabilityと呼ばれる)、熱ゆらぎよって構造が崩れたものも多く存在する。そんなにもろくて柔らかい分子機械がどうやって機能することができるのだろうか? また、分子機械が能動的に機能するためにエネルギーが必要であるが、ナノメートル・サイズの極微の分子機械はどんな種類のエネルギーをどう使っているのだろうか? さらに生命システムという巨大集積回路において、「分子素子」としての蛋白質はどのように情報を記憶し、処理・伝達しているのであろうか? 

本研究室では計算物理学と最先端コンピューティング技術を用い、分子機械、分子素子、生命システムの動作機構の解明に原子・分子のレベルから挑んでいる。

研究対象としては

などがある。研究の一例として、筋収縮/心臓拍動を担う分子機械に関する研究をまとめた下記をご参照いただきたい。

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